防水透湿素材の仕組み|雨と汗どちらに耐える生地なのか
レインウェアのタグには「耐水圧」と「透湿度」の2つの値が並んでいて、単位もmmH2Oとg/m²・24hrで違うため、どちらが雨の話なのか表記だけでは分かりにくくなっています。
耐水圧は雨のような液体の水にどこまで耐えるか、透湿度は汗から出た水蒸気をどれだけ外へ逃がせるかを示す値です。
防水透湿素材は、この2つの性能を1枚の生地にまとめた素材です。
スマートフォンやイヤホンの仕様にあるIPX等級は、生地の耐水圧とは別の規格です。
耐水圧の値をIPX◯に置き換える換算表はありません。
本記事では、タグの耐水圧(mmH2O)と透湿度(g/m²・24hr)が何を示すかと、IPXの数字を生地に当てはめられない理由を解説します。

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※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
防水透湿素材の仕組み|水は止めて水蒸気は通す理由
防水透湿素材(透湿防水素材とも表記されます)は、水は通さずに水蒸気だけを通す素材です。
雨粒は液体のまま生地の表面で止まり、体から出た水蒸気は気体のまま外へ抜けていきます。
同じ「水」でも、液体か気体かで生地の通り方が変わるところに、この素材の仕組みがあります。
水蒸気を通す方法には2つのタイプがあります。
1つは防水の層に微細な孔を持たせ、液体の水は通さずに水蒸気だけを抜くタイプです。
もう1つは孔を開けず、親水性の層で水蒸気を移動させるタイプです。
どちらのタイプを使っているかは製品ごとに異なり、タグに書かれていないこともあります。
性能の表し方はどちらのタイプでも共通で、液体の水への強さを耐水圧、水蒸気の通しやすさを透湿度で示します。
耐水圧はどれだけの水圧に耐えるかをmmH2O(mm水柱)で表す値で、生地の防水性の指標として使われています。
透湿度は単位時間あたりに通す水蒸気の量をg/m²・24hrで表すので、値が大きいほど蒸れを外へ逃がしやすい生地です。
防水透湿素材は雨と汗のどこまでに耐えるのか
タイトルの問いには、雨は防水の層で止め、汗は水蒸気の状態なら外へ逃がす、と答えられます。ただし「汗に耐える」の中身は、雨の場合とは仕組みがまったく違います。
耐えられる場面
降っている雨や跳ね返った水は液体なので、防水の層が止めます。
どの程度の水圧まで止められるかは耐水圧の値で確かめてください。
歩いたり自転車をこいだりして体が温まり、汗が水蒸気として出ている状態なら、透湿度に応じて生地の外へ抜けていきます。
雨を通さないビニールの雨がっぱと比べて内側が蒸れにくいのは、この透湿の働きがあるためです。
耐えられない場面
透湿度は水蒸気についての値なので、肌に液体として溜まった汗を吸い出す性能を示すものではありません。
運動量が多く、汗が水蒸気になる前に流れ落ちる状況では、内側が濡れることは十分に起こります。
また耐水圧の値はどれだけの水圧に耐えるかを示すだけで、水に沈めた状態で何分もつかまでは分かりません。
プールや海に浸ける使い方を、耐水圧の数字から判断するのは避けてください。
汗をかく運動用の生地は、撥水ポリエステルのような別の素材も選択肢に入ります。素材ごとの向き不向きは汗をかくスポーツウェアと撥水ポリエステルの相性で解説しています。
耐水圧・透湿度・IP等級の違い
「防水」を示す数値は製品の種類によって規格が違い、同じ表に並べても大小は比べられません。生地なら耐水圧と透湿度、電気機械器具ならIPコードが使われます。
| 指標 | 何を表すか | 単位・範囲 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 耐水圧 | どれだけの水圧に耐えるか | mmH2O(mm水柱) | 生地 |
| 透湿度 | 単位時間あたりに通す水蒸気の量 | g/m²・24hr | 生地 |
| IPコード 第2特性 | 外郭による防水の保護等級 | 0〜9 | 電気機械器具 |
| IPコード 第1特性 | 外郭による防塵の保護等級 | 0〜6 | 電気機械器具 |
IPコードは電気機械器具の外郭、つまり本体を覆う部分がどこまで中を守るかを示す記号です。
生地の防水性を測る耐水圧とは試験の対象も単位も異なり、両者を結ぶ換算表は存在しません。
「耐水圧が高いからIPX◯相当」という書き方を見かけたら、その数字は根拠を持たない言い換えと考えてください。
IPとIPXの表記の読み方と防塵の数字
IPコードは「IP+第1特性数字+第2特性数字」の形で書かれます。
1つ目の数字が防塵で0〜6、2つ目が防水で0〜9です。
防塵と防水を1つの記号で表すため、防塵防水規格と呼ばれることもあります。
IPX7のように1つ目がXになっている表記は、防塵の項目を試験していない、または表示していないという意味です。防塵性能がゼロという意味ではないので、Xを見て「ほこりに弱い」と読むのは誤りです。
最高等級の扱いも変わりました。
2026年1月に制定されたJIS C 60529(旧JIS C 0920:2003を置き換え、IEC 60529と一致)で防水の等級に9が追加され、防水の最高等級は8ではなく9です。
「IPX8が最高等級」と書かれた古い説明は、いまは誤りになっています。
等級9の試験条件は出典によって記載される数値が食い違っているので、製品の仕様書にある条件で確かめてください。
防水透湿素材の数値を見るときの注意
タグの耐水圧や透湿度、製品に付いたIP等級は、決められた試験条件のもとで測った値です。
生地は使い込むうちに劣化し、機器はパッキンの状態によって防水性が変わるため、新品時と同じ性能がずっと続くわけではありません。
等級や数値が高くても、あらゆる場面で浸水しないという保証にはならないと考えてください。
縫い目やファスナーからの浸水は、生地の耐水圧とは別の話です。処理の方法は製品によって異なるので、仕様に記載があるかを買う前に確かめてください。
防水と撥水を取り違えないことも大切です。
撥水は表面で水をはじくだけで、浸水そのものは防げません。
違いは撥水性が高い生地を雨の日の通勤に使えるかの基準で解説しています。
「完全防水」の表記をどう読むかは完全防水の表示とプールでの使用の注意点で解説しています。
よくある質問
防水透湿素材なら汗で蒸れませんか?
蒸れにくくはなりますが、蒸れないわけではありません。
外へ逃がせるのは水蒸気になった汗で、その量は透湿度の値までです。
液体として肌に溜まった汗は透湿度の対象外なので、汗の量が多い運動では内側が濡れます。
耐水圧の値はIPX等級に換算できますか?
できません。
耐水圧は生地の水圧への強さ、IPコードは電気機械器具の外郭の保護等級で、別の規格です。
両者の換算表は存在しません。
IPX8が防水の最高等級ですか?
いいえ、2026年1月制定のJIS C 60529で等級9が追加されたため、防水の最高等級は9です。IPX8を最高と書いている資料は、刷新前の情報をもとにしています。
まとめ
防水透湿素材は、雨のような液体の水を防水の層で止め、汗から出た水蒸気を外へ逃がす生地です。雨への強さは耐水圧(mmH2O)、蒸れの逃がしやすさは透湿度(g/m²・24hr)で表され、どちらも試験条件下の値なので劣化によって変わります。
IPやIPXの等級は電気機械器具の外郭の規格で、生地の耐水圧とは換算できません。
防水の最高等級は2026年1月から9になり、Xは試験していない項目を示す記号です。
ぜひ本記事の読み方を参考に、タグの耐水圧と透湿度を見比べて、雨と汗のどちらを優先する生地かを確かめてください。



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